カボタージュ制度の堅持

カボタージュ制度

カボタージュ制度とは、自国の沿岸輸送、すなわち内航海運は自国船に限るというルールで、日本のみならず世界的に広く取り入れられているものです。我が国では船舶法第3条の規定に基づき、「法律若しくは条約に別段の定めがあるとき、外国籍船は海難若しくは捕獲を避けようとするとき又は国土交通大臣の特許を得たとき以外は、日本国内の港間における貨物又は旅客の沿岸輸送を行うことが出来ない」こととしています。

カボタージュ制度が多くの国々で長年にわたり守られているのは、国家の安全保障、地域住民の生活物資の安定輸送、自国船員による海技の伝承、海事関連産業や地域経済の振興など、多方面でこの制度が必要かつ重要だからです。

世界各国のカボタージュ制度

世界の共通ルールとして、アメリカ合衆国、韓国・中国・インドを含むアジア諸国、ドイツ・フランス・イタリアを含むヨーロッパ諸国、ブラジル・アルゼンチンを含む中南米諸国など海岸線を有する殆どの国で実施されています。  

◆カボタージュ制度が緩和・廃止された場合の問題点

①外航船と同様に内航の日本船は極端に減少し、日本人船員も雲散霧消することとなり、国内物流の4割に上る産業及び生活物資の安定輸送を外国籍船、外国人船員に委ねることになります。このことによって多くの船主および運送事業者は、撤退を余儀なくされ、海技の伝承が困難となり、海洋国家の確立が危うくなることが懸念されます。

②大震災や有事の際に住民避難等のため、必要があれば、国は海上運送法の航海命令、国民保護法の従事命令等を出すことができますが、これは主権の及ぶ日本船であるからこそ可能なことです。
また、東日本大震災の際には、福島原発事故の放射能汚染を恐れた一部の欧州船が東京への寄港を忌避し、神戸で荷揚げしたため物流の現場が大混乱に陥ったことがありました。そのような状況下でも福島原発沖を航行して被災地の港に燃料や物資を輸送したのは、日本人船員の乗り組んだ日本船でした。

平成30年5月に閣議決定された海洋基本計画では、安定的な国内海上輸送を確保するため、国際的な慣行であるカボタージュ制度を維持することが明記されています。カボタージュ制度が、国家の安全保障と国民経済の安定にとって欠かせないものであり、だからこそ、グローバルスタンダードとして世界の多くの国々で実施されている点が改めて確認されたと言えます。これを踏まえて、カボタージュ制度関係者をはじめ広く国民一般にカボタージュ制度の必要性が理解されるよう、一層の広報活動に努めます。

Copyright © 2021 Japan Federation of Coastal Shipping Associations