平成23年3月に発生した東日本大震災では、内航海運業界は発災後直ちに内航総連内に「東日本震災対策本部」を設置し、業界を挙げて救援物資や復興資材の輸送に取り組む態勢を整えました。震災発生から同年4月末までの1ヶ月半あまりの輸送量は、燃料油・LPG等204.71万kl、畜産飼料6.2万㌧、生活物資、建設機械、車両等約230台、合計210万㌧(10㌧車21万台相当)でした。その後も引き続き被災地域の復興に必要な資材等の海上輸送体制の確保に業界を挙げて取り組んでいます。また、震災後、全国の原子力発電所が相次いで運転停止となり、代替電源として火力発電所の稼働率が高まっている状況下で、重油・石炭等燃料の安定輸送に努めています。
また、平成28年4月に発生した熊本地震では、内航海運は国土交通省に協力して直ちにRORO船やコンテナ船による支援物資の輸送を行なう体制を取りました。
2020年になって世界的に感染拡大した新型コロナウイルスは、我が国をはじめ各国に重大な健康被害と、深刻な経済的打撃を与えました。このような状況にあって内航海運は、物流インフラの根幹として各種物資の輸送を滞りなく遂行する重責を担っていますが、その活動の前提として当総連合会は政府の指導や協力を仰ぎつつ、船員のウイルス感染防止や内航事業者の経営支援に全力で取り組んでいきます。
また今後、南海トラフ地震等の大規模な自然災害の発生が危惧される中で、国土交通省では東日本大震災等の経験を踏まえ、大規模災害時の支援物資輸送に船舶を活用するよう施策を講じており、当総連合会は当局と連携し、当局の施策が有効に機能するよう積極的に協力していきます。また、国のみならず地方においても地方公共団体からの要請があれば、災害時の内航船による輸送協力等を内容とする災害協定の締結に積極的に応じる方針で、現在、東京都、高知県、佐賀県、北海道、愛媛県、徳島県の6都道県と協定を締結しています。
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